インタープリターへの道

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目指せ!インタープリター

私たちは現在、石垣島においてエコツアーをしています。その仕事を営むにあたって、1年ほど準備期間を設けました。準備とはどんなことをすればいいのでしょう? 石垣島特有の動植物の知識を蓄えることでしょうか?もちろん、それも大事です。しかし私たちは考えました。その知識を、どのように人に伝えるのか? 伝えるための効果的な技術は必要ないのか?・・・ということで「インタープリテーション」という技術に出会い、「インタープリター」になるべく修行を開始したのでした。以下は、あまりにも楽しかった私たち『ふくみみ』のエコツアー開業前夜の記録です。

 

インタープリター・トレーニング・セミナー参加体験記(大堀健司)

2000年9月14日~17日までインタープリテーション協会の主催する「インタープリター・トレーニング・セミナー(以下ITS)」に参加してきました。3泊4日で行われ、宿泊費・食事代込みで6万円。場所は、前回までは東京の奥多摩にある「山のふるさと村」で行われたのですが、第15回は長野県にある国立信州高遠少年自然の家で開催されました。ITSの大まかな内容を以下に紹介します。
基本的には、野外での実習と室内での実習+講義が、疲れないように飽きないように実に巧みに繰り返されます。休憩時間もありますが講義中も自由にお茶を飲んだり、また、ひとりでゆっくりと考える時間が多く、参加者はみんな森の中の好きな場所に散り散りとなり静かな時間を楽しんでいました。追い立てられるような内容が何ひとつなく、心が浄化される4日間となるはずです。

ITSでは、まず野外で参加者全員のうちとけあいのプログラムが行われます。これにより他人行儀だった参加者が一気に親しくなります。そして室内で今おこなわれたプログラムの意味が解説され、インタープリテーションは参加者の心を解きほぐすことから始まることを我々は学びます。

sekirei1そして3人のスタッフによるかわるがわるのプログラム体験。夜のプログラム、早朝のプログラムと参加者はプロによるインタープリテーションを堪能します。3日目には参加者がプログラムを作る番。一生懸命作った10分間のオリジナルプログラムをみんなに体験してもらい、意見を交わします。当然みんなボロボロの内容ですが、最終日にもう一度同じプログラムを実施します。すると不思議なことに、みんな見違えるようにすばらしいプログラムとなっているのです。繰り返すことにより自分で作ったプログラムが磨かれていくのです。一度きりではなく二回以上同じプログラムを実施した時点で、参加者はプロのインタープリターの第一歩を歩みだしていたのです。

keep2以上のようにITSの内容は非常にすばらしいものです。しかし、それ以上に夜の懇親会もすばらしく(?)、酒瓶がどんどん空になっていきます。参加者がみな似たような価値観を持っていることもあり、生涯の友人たちとなりえる出会いがあるはずです。私もエコツアーを始めるにあたって有益な情報やアドバイスをたくさんもらいました。そして、なにより自分のやろうとしていることを的確に理解してくれる人たちがいるというだけで、大きな勇気が湧いてくるのでした。

(一社)日本インタープリテーション協会 http://interpreter.ne.jp/
(株)自然教育環境センター http://www.ces-net.jp/
東京都立奥多摩湖畔公園 山のふるさと村  http://www.yamafuru.com/

 


 

第14回清里インタープリターズキャンプ~中級編~参加体験記 (大堀則子)

2000年11月3日~6日まで、財団法人キープ協会環境教育事業部(以下キープ)の主催する「インタープリターズキャンプ~中級編~」に参加しました。八ヶ岳の麓、晩秋の空気に包まれた清里の森で、キャンプは行われました。今回初めて実施の「中級編」ということで、いささかビビってしまった人が多かったせいか、定員30名のところ14名の参加と少なめではありましたが、逆に参加者同士、スタッフと、より親しく過ごすには、ほどよい人数だったような気がします。

キープ協会とは?

自然豊かな清里に建てられた、宿泊施設「清泉寮」を母体に、創設者故ポール・ラッシュ博士の理念の基、酪農、環境教育、国際交流などのプログラムを、数多く、開発、実践しています。ここにはキャンプ場、自然学校など、様々な施設もあり、大人から子どもまで、体験を通して自然を学ぶことができます。さらに、環境教育を目指す人のための、様々なセミナーも実施されており、いろいろな切り口から、環境教育について関わっている、そんな団体です。詳しくはホームページで。

 

キャンプのねらい

  1. 体験を通して「自然体験型環境教育プログラム」を学ぶこと
  2. インタープリテーション技術のスキルアップを図ること
  3. インタープリテーション教材や小道具の有効利用について学ぶこと
  4. 「体験学習法」の手法から「人が学ぶ」プロセスを学ぶこと
  5. 「自然体験型環境教育プログラム」を作り、実施し、評価を受けること
  6. 「プログラムデザイン」について学ぶこと

「中級編」ということで、実際に教育現場で働いている人、地域の環境教育に携わっている人などが、主な参加者でした。その為、かなり具体的に「環境教育プログラム作り」を、参加者が実際に体験しながら学ぶことができる内容となっていました。

 

キャンプの内容

野外での実習、室内での実習と講義が、朝の7時から夜の9時頃まで、たあ~っぷりと組み込まれていました。キャンプ前半では、スタッフによる「自然体験プログラム」を、参加者が実際に体験し、後半では、参加者が4,5人のグループに分かれ、それぞれ1つの「アクティビティ(プログラムを構成する活動のこと)」を作成し、他の参加者とスタッフに体験させる、というのが大まかな流れでした。

キャンプ初日は、参加者とスタッフが、お互いを知り合う「アイスブレイキング」から始まりました。ボールを使ったちょっとしたゲームで、緊張気味の心がほぐれると、お次はスタッフが参加者を清里の森へ連れだし、「フィールドとのアイスブレイキング」。この時、参加者はスタッフによる「自然体験プログラム」を、まさに体験するのです。その後は室内での実習と講義。このキャンプの特別講師である古瀬さん(自然教育研究センター主任研究員)による講義では、「インタープリテーションとはなにか」「インタープリテーションの手法」、さらにプログラムを作成するにあたり、その考え方の根底となる「フィールドポテンシャル」「体験学習法」「アクティビティ作りの組立方」について学びました。フィールドポテンシャルとは、地域のもつ特性のこと。自然体験プログラムを作成するにあたって、その地域に合ったもの、特性を生かしたものを作りましょうという考え方です。実際、私たちがアクティビティを作成する際も、3つのフィールドがあらかじめ決められており、それぞれ好きな場所を選ぶことで、グループ分けがされました。

キャンプ2日目の夜から、メインイベントであるアクティビティ作りは始まりました。まるで違った立場、環境、性格の人たちが、それぞれに意見を出し合い、納得するまでとことん話し合い、1つのものをまとめ、作り上げていく。これは、参加者全員にとって、楽しく、エキサイティングであると同時に、時間との戦いという、辛い作業でもありました・・・。キャンプ3日目の午後、3つののグループによる30分のアクティビティが実施されました。みんなの心の葛藤が上手く集結された、それぞれに素晴らしいものとなっていました。体験するということが、何にも勝る学習方法であることを、まさに私たちは体験したのです。その日の夜は心ゆくまで酒のかわし合い・・・といきたいところだったのですが、「ナイトハイク」「星の観察会」・・・と、最後の夜までモリモリだくさんのキャンプなのでした・・・。

keep-1キャンプ期間中は、奇跡的にも天気予報は外れて(私は雨女・・・)素晴らしい晴天に恵まれました!清里の山は、残念ながら紅葉には、ちと遅すぎましたが、冬の訪れを待つ木々の静かな息使いが聞こえてくるような、豊かな自然が広がっていました。4日間を共に過ごしたみんなは、それぞれの場所に戻り、それぞれに新たな気持でもって、それぞれの使命を果たしていくのでしょう・・・。実習や講義で学んだことと同じくらい、このキャンプを通じて出会えた人たちから学んだことも多かったと思います。年齢も、住む場所も、仕事もまるで違うけど、何か共感できるものを持っている、そんな人たちとの会話はとても楽しかったし、力になったのでした。

財団法人キープ協会
山梨県 北巨摩郡 高根町清里3545
Tel 0551-48-3795  Fax 0551-48-2099 http://www.keep.or.jp/